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プラスチック製品の耐候性

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プロフェッショナル ミニボートビルダー blog ~ 船体設計製造から安全装備を日々考える~

プラスチック製品の耐候性

オーパ・クラフトのボートやオプション品は、屋外で使われることが前提です。特に、初夏から夏場にかけての海の上は強い太陽光線にさらされるので、ボートもこれに耐えるようになっています。

太陽光に晒されたプラスチックの変化 耐候性のないプラスチック製品の例。左は1年以上太陽光に晒され,表面がもろくなっている。

先日、ある方から、安いプラスチック製品だと屋外においておくと数年も立たないうちにぼろぼろになるが、そうでないものもある。何が違うのかと質問されました。こちらの写真は、その方がもっていらっしゃった、100円ショップで売られているという洗濯物をひっかけるフックです。片方は屋外で1年以上日光に晒されており、もう片方は、まだ数ヶ月とのことでしたが、拡大してよくよく観察すると、随分外観が違いますね。
洗濯物がぶら下がるだけですから、何かぶつかるというわけでもないのに、左側のフックは表面層が随分剥がれ落ち、ぼろぼろになっています。手で触るとポロポロと粉が落ちてきて、色つやも全くありません。

こうした太陽光線にさらされることによる劣化は、プラスチック製品の宿命でもあります。プラスチックが柔軟でやわらかいのは分子と分子のつながる部分が自由度が高く、分子がお互いに位置関係を変えやすいことからきます。プラスチックの一種、ゴムがとてもやわらかいのは、こうした自由に動き回れる部分がとても多いことにも由来しています。ところがこのお互いに分子が動き回れるようにつながっている部分は、太陽光線などにふくまれる紫外線が持つエネルギーにさらされると、そのつながりが切れてしまいます。切れてしまうということは、互いに離れやすくなり、ポロポロと簡単に崩れ落ちるという現象にもつながります。材料がこのように脆(もろ)くなることを脆化(ぜいか)といいます。

脆化が進むと、環境や素材によっては表面的にはなんともなく、丈夫そうに見えても、ちょっとした力をかけると突然パキンと割れることもあります。右の写真は、やはり100円ショップで販売していた商品で、長年、屋外で使っていたら、ある日手で広げようとしたら簡単に割れてしまったもの、とのことです。
脆化を抑えるには、プラスチックに、太陽光をはね返したり特にそうしたエネルギーを集中して吸収できる成分を表面にぬったり、混ぜ合わせることがあります。一般的に、塗料をぬった状態を想像していただくとわかりやすいかと思いますが、FRPの場合、繊維と混ぜ合わせるプラスチックそのものにそうした耐候性を強化する材料を混ぜて使うこともあります。
100円ショップで買った商品でもきちんと対策されたプラスチック部品が使われていることもありますが、商品を企画したり仕入れる人までがこうしたことを理解していないと、長く使えないものになってしまいます。

広げようとして簡単に部材が折れた洗濯バサミ 広げようとして簡単に部材が折れた洗濯バサミ
船舶検査・メンテナンス補修を待つSeagullブランドの時代のオーパのボート 船舶検査・メンテナンス補修を待つSeagullブランドの時代のオーパのボート

オーパ・クラフトの船は、もちろんこうした紫外線などに耐えられるような資材を使用し、長い時間、光に晒された状態でも強さを保てるかどうか、試験をした材料や構造を採用しています。だからこそ、実際 、10年、20年とオーパのボートを使い続け、ご愛顧いただいていらっしゃるお客様がたくさんいらっしゃいます。
オーパ・クラフトはこうした長く使い続けていただけるお客様のために、船舶検査や修繕などの業務を行っております。また、レジャー艇については、現在、弊社からの直接販売のみを行っております。
また、日々の生産現場においても、季節によって温度や湿度の条件が異なるため、ガラス繊維に塗り込むプラスチックや強化剤などの添加剤の成分やその割合を変えながら生産活動にあたっています。社長のみならず、従業員も、いつもと違うという違和感を感じると、すぐに情報を集めたり検証をしたりして、安全なボートをつくっていくという使命感を社内全体が大切にしております。

お客様の期待に応え続けるため、オーパ・クラフトでは一つ一つの商品開発、商品の製造に手を抜かず、ていねいに検証し、世の中に送り出しています。そのものづくりの姿勢は、先代から引き継がれ、次世代に繋いでいく必要があります。プラスチックの知識、繊維の知識、金属の知識、物理・化学の知識、構造の知識、品質管理の知識、実際の検査数値、目視検査の結果、などなど。様々な知見を組み合わせ、わたしたちは今後も、安全・安心なボートを供給し続けます。

【追記】 ご購入のお客様にはお話していますが、オーパ・クラフトのボートを保管する際は、必ず直射日光のあたらない場所でお願いします。太陽光線のエネルギーは非常に大きく、対策を施されたプラスチックであっても、直接日光にさらされ続けると、10年もしないうちに脆くなってしまいます。オーパ・クラフトの船を中古で取得される場合は特にご注意ください。前のオーナーの方が暗所で保管されておらず、日の当たる屋外に長年置かれていた場合、外観がきれいでも固いものにぶつかると船体が破損してしまう可能性もあります。

はねあげフロート開発時の振動耐久試験 はねあげフロート開発時の振動耐久試験

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